Monday, November 7, 2011

一命



ここでは、映画の『一命』を観た感想を私なりに語らせていただきます。

知らず知らずのうちに核心部分に触れてしまうかもしれないので、そういうのが嫌いな方は読まないでください。

あと、今の私は四錠のハルシオンで普段通りのテンションとはいえません。あんな雑魚でも量をこなせばまあまあになるのね。


それはともかく、何の前知識もなく、ただ誘われたので行ってみたのだが、これがなかなか興味深い内容だった。

あらすじは以下の通り(goo映画より引用)

戦国の世は終わり、平和が訪れたかのようにみえた江戸時代初頭、徳川の治世。その下では大名の御家取り潰しが相次ぎ、仕事も家もなくし生活に困った浪人たちの間で“狂言切腹”が流行していた。それは裕福な大名屋敷に押し掛け、庭先で切腹させてほしいと願い出ると、面倒を避けたい屋敷側から職や金銭がもらえるという都合のいいゆすりだった。そんなある日、名門・井伊家の門前に一人の侍が、切腹を願い出た。名は津雲半四郎(市川海老蔵)。家老・斎藤勘解由(役所広司)は、数ヶ月前にも同じように訪ねてきた若浪人・千々岩求女(瑛太)の、狂言切腹の顛末を語り始める。武士の命である刀を売り、竹光に変え、恥も外聞もなく切腹を願い出た若浪人の無様な最期を……。そして半四郎は、驚くべき真実を語り出すのだった……。


これだけではわからないから、早速核心部分を言ってしまおう。そうでないと進まない。

繰り返します。嫌な方は読まないでください。



つまりだ。半四郎は求女の義理の父親なのである。実年齢は五つしか離れていないが、親子なのである。

半四郎はメロドラマもびっくりの不幸な境遇だ。

まず、仕事がなく(ものすごく腕が立つにもかかわらず)、仕方なく傘張りの内職をしている。妻に先立たれた彼は、病弱な一人娘、美穂に愛情を注いでいた。ある日、親友の田尻が亡くなり、その忘れ形見の求女を育て始める。美穂と求女は恋仲になり、やがて結婚し、一児をもうける。だが、依然として仕事はなく、美穂も働けず、傘張りと求女が寺子屋で教えて稼いだ収入に一家は頼らなければならない。冬を迎え、美穂の病は悪化し、最悪なことに孫まで病気になってしまう。最後の手段として狂言切腹を選んだ求女。半次郎たちはそのことを知らず、求女の帰りを待つ。ひどい寒さと飢えにより、ついに孫は死んでしまう。悲しみに暮れる父娘の元に、更なる辛い出来事が。切腹した求女が無言の帰宅を遂げたのだ。ショックと衰弱で美穂も帰らぬ人に。

うーん、すごい。不幸、不幸のオンパレード。

貧乏、不幸描写があまりにもヘビーで、胃もたれならぬ不幸もたれしそうだった。
暗い話好きの私としてはべたべたな不幸や貧乏に思わずほくそ笑んでしまった。

だが、切腹シーンは素晴らしかった!冒頭からいきなり、何十分も続く長い切腹シーンを拝めるのだ!このシーンだけでも観たほうがいい(トイレに立つなら中盤の不幸シーンがおすすめだ)。切腹こそがこの映画最大の見せ場なのだから。何せ竹光だからなかなか刺さらないという設定なのよ。何度も何度もチャレンジはするんだけれど。
長く長く苦しんで、苦悶の声を上げ、血を滴らせ、それでもなかなか死ねない。
カンヌ映画祭に出品した時も、件のシーンに耐えきれず席を外す外国人が絶えなかったとか。

私は残酷シーンこそが大好物なので何の問題もない。血も、痛みも平気。だって、女の子だもん。
しかし男の子は観ていて辛かったことだろう。生理がないと娯楽が限られるのよね。レバーも苦手な人が多いし。
きっとそんな男性の一人だったのだろう。私たちの横にいたおっさんは。
彼は痛そうなシーンや、辛いシーンがスクリーンに映し出される度に、何度も何度も大きな嘆息をもらすのだ。最初、私は空調が壊れているのかと思ったが、そうではなかった。
ちょっと面白いとは思うのだけれど、せっかくの切腹シーンであの息は気が抜ける。
まあ、楽しませてもらいましたが。

楽しませてもらった点は他にもある。

海老蔵さんは失業した武士で、おまけに孫までいる。冴えない中年としか思えない設定だ。

だが、スクリーンの中での彼は、いいパパにもいいおじいちゃんにも、腕の立つ剣豪にも、復習に燃える鬼にも見えない。

チンピラにしか見えないのである。

そもそも『一命』に登場した大名家はそのまんま組事務所と言っていい。組長も若い衆もいるのだし。海老蔵さんはそこに乱入してきたヒットマンのように見える。ヤクザというには軽さを拭えない。チンピラ!そう、チンピラなのだ!

これほどチンピラを素晴らしく演じられる役者はハリウッドにも滅多にいないだろう。
どうですか?海老蔵さん、次回作はヤクザ映画か北野武さん映画に出られたら。

ハリウッドデビューもあり得るかもしれない。

何気に期待しているんですからね。

2 comments: