Wednesday, October 27, 2010

貧乏記の魅力



来年頭にロンドンとアムステルダムに行くことが決まったので、気分を盛り上げるためにも、ジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』を読んでいる。

噂通りの貧乏記である。これに比べれば私の貧乏旅行などまだまだ甘いとしか言いようがない。いや、貧乏どころかかなりブルジョワな旅行なのではないかとすら思えてきてしまう。

私はとにかく貧乏記というものが大好きで、そういう本があると聞いたら無条件に注文してしまう。貧乏記の数は少なくはないのだが、それほど多くもない。おかげで私は今のところまだ「貧乏記貧乏」にはならずに済んでいる。

貧乏記は私に勇気を与えてくれる。いくら自分が貧乏だからといって嘆いていてはいけない。上には上がいるのだ。欲しいものが買えない程度の貧乏では、食うのに困る貧乏の足下にも及ばない。

食べたいのに食べられない貧乏ほど辛いものはない。そこらへんを『パリ・ロンドン放浪記』は子細に描写する。ここに登場する人物たちは、いつだって腹を減らしている。いつだって食べ物のことばかり考えている。

はたして、現代の日本にこんな若者がいるだろうか?

いや、いくらでもいる。私だってここ数日はそんな感じである。

幸い今日の私は取り立てて貧乏というわけでもない。以前より物を買わなくなったからだ。しかし、若かりし日のジョージ・オーウェルと同じくらい、食べ物には飢えている。
ダイエットをしているからだ。

このところ私は太った。他人に指摘されるくらい太った。いや、どれだけ太ったかは自分が一番わかっている。

こんな時は、本の中のこんな文章が身に染みる。

「空腹がどういうものかも、わかってくる。マーガリンをつけたパンを腹におさめて外出すると、店のウインドーを覗く。いたるところで、買い手のない山のような食べ物がわたしを侮辱する。丸ごとの豚肉、バスケットに積まれた焼きたてのパン、バターの大きな黄色い塊、つながってぶらさがっているソーセージ、うずたかく積まれたポテト、まるで回転砥石のようにバカでかいグリュイエール・チーズ。こんなにある食べ物を見ると、みじめで泣きたくなってくる。パンをひとつつかんで逃げ出し、つかまらないうちに呑み込んでしまったらと考えはしても、ただただ怖くてできはしない。
一週間でも」、マーガリンつきのパンで暮らした人間は、もはや人間とは言えず、付属器官がいくつかついた腹にすぎないと、つくづく思う」

本当に共感する。悲しくなるくらいに。私もオーウェルも、戦っているという意味では同じだ。私は体型と、彼は貧困と。そして途方も無い空腹と。

そうなのだ。今頃になってやっとわかった。私がこうも貧乏記に心ひかれるのは、描かれている心理がダイエット中の気持ちにぴったりフィットするからなのだ。だから私はダイエットをする度に、貧乏記を読み返しているのだろう。

主人公がこれほど頑張って空腹と戦っているのだから、私も頑張らなくては。そう思うことで、もう少しでポテトチップスの包みを開けてしまいそうになる駄目な右手を止めることができるのだ。この手のジャンルの本には、どうやらこういった効能もあるらしい。

ちゃらちゃらしたダイエット本より文学的価値もあることだろうし、痩せたい人はまず著名な作家の貧乏記を読むことをお勧めする。







5 comments:

  1. なるほどねぇ~
    文学にダイエットを結びつけるところに
    杏里さんの才能を感じます
    一回痩せたのにリバウンドしたのですね

    ReplyDelete
  2. 【記入者:sen2460】
    自分の知り合い(30代半ばの♂)に「おもしろ貧乏」がいる。

    韓国-釜山で日本語教師をしているその人から聞いたのだが、
    冬場「0℃」で暖房なし、5畳の室内でコートに手袋、晩ご飯は、パンと水。

    そんな事を日本語教室の教え子に話したら
    「先生、キリストでも、パンとワインですよ!」とツッコマレタらしい。

    震えながら、パンと水を食うそのオッサンを想像すると今でも笑える。

    「たわけ同盟」に合うように「だである調」の文章にしてみました。

    それにしても、写真で見る容姿から想像だにできない
    「たわけ同盟」の文章には、まがまがしいオーラを感じる。

    ロシアでは「若い女性に悪魔がとりつく」と聞いたが
    なんかそれっぽい感じが魅力的だ。

    「鈴木杏里邸への観光ツアー」をやってほしい。
    あと、「鈴木杏里ってこんな娘」って言う
    パンフレットも\2,000円までなら買う。裸がなくても買う。

    ReplyDelete
  3. 杏里さん、こんばんみ~。
    杏里さんダイエットしてるのですかぁ~。
    個人的には、もう少しというか全然大丈夫と思いますが・・・
    デビューしてから比べて、現在はどうなのでしょうかね。
    今の方が細くなったような気もしますが・・・
    自分は、あと7~8㎏減量しなければならないのですが、
    それなりに努力はしてるつもりですが、なかなか成果がでません。
    今回の杏里さんの意見、参考にしてみますね。

    来年の頭にはヨーロッパへ行かれるのですね。
    アムステルダムの行かれるようですが、
    好奇心旺盛の杏里さんですから、飾り窓なんかも見物行くのかな?
    それはともかく、あと2ヶ月少々楽しみですね。

    ReplyDelete
  4. 次は食べる事への罪悪感が良いかも
    イルカとかクジラへの罪悪
    肉を食うことの罪悪

    関係無いが屠場に働く人は独特の死相感?があるとおもう

    ReplyDelete