Tuesday, October 26, 2010

豹柄の食べ物の思い出


柄の中で一番好きなのは豹柄とボーダーで、どちらが上を行くかはその日の気分によって変わるが、今日の気分は豹柄だ。

最近はあまりにも好きすぎて、写真のように豹柄の服×豹柄のスカーフなどの、関西圏のおばちゃんにいそうな組み合わせすら楽しんでいる始末である。

それほど大好きな豹柄だが、あの柄を愛しく思えるのは目で見るものの場合だけであって、決して食べ物があの柄であってほしいとは思わない。まあ、当然のことなのだが。

実を言うとこれまでに一度あったのだ。あの柄の食べ物を口に含んだことが。

小学校三年生か四年生の時だったと思う。その日、給食のメニューはけんちん汁だった。

にんじん、豚肉、大根、長ネギ、こんにゃく、油揚げ。具はこんな感じだった。いつも通りの美味しいけんちん汁だ。

きっとその日も私は給食当番に「大盛りにしてね」と頼んだと思う。けんちん汁は好物だったのだ。一度に多量を作るせいからだろうか?家で食べるものよりずっと美味しかった。

けんちん汁でもまぜごはんでも八宝菜でもそうなのだが、何種類かの具の入っている食べ物の場合、私はしっかり皿を見て食べる。

最初から最後まで、全ての具が同じ割合で入っていないといけないからだ。けんちん汁の場合、大根とこんにゃくは特に好きだから、注意深く食べないとすぐになくなってしまう。そうすると味のバランスが崩れて、せっかくの好物が台無しになるのだ。

そういう事情があって、今箸の間に挟まれているのもがいったい何なのか、私はいちいち確認してから口に運んでいた。

やがて、箸は皿の中から見慣れぬ食材を拾い取ったのである。

それがあの、得体の知れぬ豹柄の食べ物だったのだ。

初めは変なこんにゃくかと思った。色合いはグレーっぽく、けんちん汁の具の中では一番こんにゃくに似ていたのだ。しかし、どうも感触が違う。

変色した油揚げかとも思ったが、それにしてはきめが細かすぎるし、つるつるしている。

いったいなんなのだろう?見たところ、皿の中にはそれ一欠片しか謎の食材は入っていない。いっぱい入っていたなら何か新しい具なのだと納得できるのだが……。まったく薄気味悪い。

だが、そこは意地汚い小学生のこと。他には入っていなさそうな具が自分のけんちん汁にだけ入っているなんて、すごく得した気分になってきた。これを食べると何かいいことがあるようにすら思えてきた。

私はこわごわ口に入れてみた。舌と歯で味と感触を確かめ、鼻から息を抜いて匂いを確かめた。

無味無臭で、やはりこんにゃくでも油揚げでもない。

食感は鶏皮か、何か膜のような感じだった。ぷるぷる舌の上で踊って、歯茎に張り付いてくるようだった。が、当時はそんな食感を楽しめる年齢でもなかった。ぐにゃぐにゃしてひたすら気持ちが悪かった。今考えるとコラーゲンもたっぷりなのだろう。意外なほど弾力があり、噛み切ろうとしても難しかったから、結局丸呑みしてしまった。喉ごしはつるんとしていた。

正直、期待外れの味だった。

他の具も食べ終わり、空の皿を配膳台に持って行った後、私はクラスメイトに豹柄の食材について話をふった。

誰もそんなものは入っていなかったと答えた。給食当番も知らないと言っていた。

他の人たちのけんちん汁は、いつもと同じ平穏なけんちん汁だったらしいのだ。

それを聞いて、私は胃の奥が重くなるのを感じた。吐き気がしたが、結局吐くことはできなかった。口の中にはいつまでもあのぐにゃっとした感触が残っていた。

それから何度も給食のけんちん汁を食べた。しかし具は以前と同じ、にんじん、豚肉、大根、長ネギ、こんにゃく、油揚げで、あの豹柄の食材を見ることはもう二度となかった。

あれは私の見間違いだったのだろうか?それとも、他のものに入れるはずだった食材の一部が、たまたまけんちん汁の鍋に混入してしまい、ものすごい確率で私の皿に入ることになったのだろうか?真相はいまだにわからない。

が、最近になって恐ろしい発見をしてしまった。ここからは気持ちの悪い話なので、そういうのが苦手な方、特に男の方は読まないでいただきたい。




先月の生理は重かった。血液どころかかたまりがどっさり出た。

一度なんて、ちょうど切ったこんにゃく程度の大きさの膜が出てきた。

あまりにも珍しいので、すごく汚いことなのだが、私はその血まみれの膜を流水で洗ってみた。

すると、十数年前の記憶が在り在りと蘇ってきたのである。

大きさといい、厚みといい、感触といい、その膜はあの食材にそっくりだったのだ。

豹柄ではなかったから、給食のおばさんの心が病んでいた可能性は極めて少ないと思うのだが……。

真相はきっと知らないほうがいいのだと思う。










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