Saturday, September 25, 2010

不運だったベトナム


ベトナム経由のパリだった。一番安いツアーに申し込んだらそうなってしまったのだ。

文句は言えない。安いのだから。

ドランジットは面倒くさいが、どこにだって行ってみたい私なのだから、二カ国行けるなんてお得じゃないか。

そんなわけで、まあわりに楽しみにしながら、行きに七時間、帰りに一日半、ベトナムに立ち寄った。

行きに寄った時は、ひどい雨だった。どうやら今は雨期らしいが、それでもちょっとひどかった。日本だったら、警報が出ているくらいの豪雨だった。それも、降り止む気配はなかった。

少しでも市内観光をしたかったのだが、市内まで出て、あまりの雨のすごさに、迷わず空港まで引き返した。タクシーは考えられないくらいのぼったくりだった。日本とあんまり変わらない値段だった。

あまりにも暇だったので、空港でマッサージを受けた。二時間近く受けたのだが、私の担当だった男性はけっこううまかった。事務的な態度にも好感が持てた。

が、終わったあと、友人はえらく落ち込んでいる様子だった。

どうやら、彼女を担当したマッサージ師は変態もいいところで、体中なで回される、ブラジャーの中に手を入れられるなどの痴漢行為を受けていたらしい。正常な恥じらいを持つ彼女は当然文句も言えず、一刻も早く時間が過ぎるのを待っていたという。

空港の名誉のために言っておくが、私を担当してくれた人はまともなマッサージ師だった。どちらかといえばいいマッサージ師だった。値段も、日本と比べるとずっと安かった。だから、私はどちらかといえば得をした。セックスアピールがないのも時には便利なのだ。

しかし、友人には申し訳ない気分になるし、自分の周囲でそんな冗談みたいな出来事が起きて、一気に不愉快になった。

ベトナムでは運に見放されているのかもしれない。そう考えると、帰りの立ち寄りも期待で来たものではなかった。悪い予感でいっぱいだった。

そして、その予感は見事的中した。

まず、細かい嫌なことがいくつも起きた。ベトナムはiPhoneの海外パケット定額に対応していない国だった。これで、インターネットでいろいろ面白そうな観光プランを調べることはできなくなった。極端に情報量の少ないガイドブックしか頼りになるものはなかった。だがそこには興味の持てる情報はほとんど載っていなかった。

ホテルのチェックアウトは一二時だし、飛行機は夜遅く出る。九時間以上は時間をつぶさなければならなかった。

仕方なく、ホテルの近くにあるレストランに入って、ベトナムらしいものを頼んだ。食事くらいは豪勢にいきたい。

頼みすぎたくらい頼んでからわかったことなのだが、そのレストランの食事は私たちの口には合わなかった。前の晩食べた、PHO24というところのフォーは、すごく好みとまではいえないものの、なんとか食べられた。揚げ春巻きにいたっては美味しかった。

が、今度の店はどう頑張っても食べられなかった。とりわけ生春巻きはすごいことになっていた。

すごくすごく懐かしい味がした。少女の頃何度か口に入れたことのある味だった。

それは、おままごとで作ったごはんによく似ていた。つまり、そのへんに生えている草の匂いと味だった。実際はそうではないのだろうが、それにとても近かった。

一口たりとも飲み込むことはできなかった。

だから、後に私を苦しめたのは生春巻きではなく、謎の魚か、また頼んでみた揚げ春巻きだったに違いない。

レストランを出てもまだ八時間近く、暇な時間が残されていた。通りをうろうろしていても、ショッピングセンターの中にいても、誰かが何かを売りつけてこようとした。買わないと、私にはわからない言葉で文句を言われた。売るもののない人は、先祖代々の恨みでもあるみたいに睨みつけてきた。私はよほどちゃらちゃらした格好をしていたのだろうか?そんなつもりはなかったのに。

人々の視線にびびりながら数時間が経った。突然私の腹は大変なことになった。あまりにも痛くて痛くて歩いてなんていられなかった。

たまたま戦争博物館にいたので大事には至らなかった。暑さによる汗と冷や汗が同時に流れ出るのは初めての体験だった。

博物館の庭には大好きなキャタピラがたくさんあった。目で見て楽しむ余裕はなかったので、急いで写真におさめ、帰ってから楽しむことにした。

本当はキャタピラの近くで、同じ時間を共有したかった。

念願かなってやっと逢えたのに、愛を伝えることすらできなかった。心底無念だ。

本当に運に見放されたベトナム旅行だった。土地にも相性ってあるのかもしれない。私とベトナムの相性はたぶんどうしようもないほど悪いのだろう。
いい思い出が一つもないというのも初めてだもの。

その分フランスはいいことばかりだったのだから、あんまり気に病むこともないよな。きっと。

4 comments:

  1. 杏里さん、こんにちは~。
    パリは楽しまれたようですが、
    ベトナムはお腹まで壊して大変だったですね。
    ベトナムは昔はフランス領だったから、
    フランス行きの便がたくさんあるのでしょうね。
    最後の写真にアオザイ姿の女性が写ってますが、
    杏里さんのアオザイ姿も見てみたかったです。
    最高に似合うのではと思いますが・・・
    それから、ベトナムなのに
    フレンチフライポテトの袋がハングル表示なのは???
    よかったら教えてください。(笑)

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  2. 大変でしたね。
    また、おなか下したんですか?
    まさかそのプロポーションの良さは、それゆえってことはないですよね。
    セックスアピールがないですって?とんでもない。
    必要十分だと思いますけど。
    金曜日隣の卓にいたんですよ。
    今度機会がありましたらよろしくお願いします。
    次はどの国へ行くんでしょうね。
    楽しみにしてます。

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  3. 上海に続きベトナムも下痢旅行ですか。
    食中毒は菌が付着している箸、皿、コップ、テーブル、水、氷(これが結構危ない)からも感染します。
    野菜も洗浄する水が汚染されていることが有り危険です。
    いい加減なところは洗浄もしません。(肥料に獣糞を使うので・・・)
    旅行に行ったら現地の名物にチャレンジするのは当たり前ですが、杏里さんは胃腸があまり丈夫ではないようなので気をつけてくださいね。
    なお、下痢止めは多用せず、水分を十二分に摂り、ドンドン出しましょう。

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