Wednesday, June 16, 2010

印象派


私ってもしかすると頭がおかしいのではないか?最近本気でそんな心配をしてしまう。
別に一分ごとにわけのわからないことをわめきちらさないではいられないというのでもないし、すれ違うすべての女性のスカートをめくって歩かなければ発狂してしまうというのでもない。それほどはた迷惑なおかしさではない。

ただ、他人の顔が覚えられないだけなのだ。

本当に本当に覚えられないのだ。男だろうと女だろうと、気の合う人だろうと大嫌いな人だろうと、一度や二度会ったくらいではなかなか覚えられない。

しかし世の中の人はふつう私ほど記憶力が悪くないので、こっちが覚えていなくても、むこうは私の顔を覚えていたりする。こっちも覚えていて当然だと思っている。一度会って、ほとんど丸一日一緒に過ごせば忘れるはずはないと。

だが、彼ら(彼女たち)の常識は私には通用しないのだ。何時間一緒にいようが、服を着替えてしまえば、化粧を変えてしまえば、違う髪型になっていたら、もう誰だかわからなくなってしまう。

いつかどこかで会って再会した人は私に「久しぶり」と言う。私のほうはその人をまったくの初対面だと思っているから、一瞬「なんだこの人、勘違いか?」と相手を少し変なのかと思ってしまうが、実際はいつだって私が間違っている。
私とその人は確実に言葉を交わした過去があるのだ。

ちんぷんかんぷんな私をよそに、その人はフレンドリーに話を進める。私はうすら笑いを浮かべながら耳を傾ける。以前どんなことを話したのかがわかれば記憶のポケットに手を突っ込んで、中身を探ることができる。
そもそも私は他人の顔は全く覚えないくせに、話した内容となると案外細部まで覚えていたりするのだ。

どうやら私には、他人という新たな情報が入ってきた時、視覚や感覚の情報としてではなく、その人から聞いた情報を、本やインターネットで見たのと同じような「知識」として記憶させてしまう癖があるのだと思う。

読んだ本の内容は覚えていても、それがどんな表紙をしていたのか覚えている人は少ない。それと似ている。

だが、人間は本ではない。それがわかっているから、多くの人は他人の印象をあくまで印象として書きとめ、人間と人間が交流したときに発生する微妙な心の揺れ動きのようなものを記憶し、相手と再会した時にはそれを引き出し、レンジでチンするひと手間もかけず、新鮮な物としてよみがえらせることができるのだろう。私とは違って、ごくナチュラルに。

そういう意味では私には人間らしさが欠けているのかもしれない。

だが、人間に限らず、私はたいていの物を覚えちゃいないのだ。道なんて恐ろしく覚えないし、名前なんかも覚えられない。

人は人でも、漫画の登場人物もなかなか覚えられない。とくに少女漫画の男性キャラクターと少年漫画の女性キャラクターはどれも似たり寄ったりだから余計に難しい。

が、年々ましにはなってきていると思う。幼稚園の頃はジャイアンとブタゴリラの、もっと言えばスネ夫とトンガリの見分けがつかなかったのに、今じゃ彼らが着ている服を交換しても見分けられる自信がある。

それはそうと、せっかく頑張って人間を覚えられるようになっても、急にイメージ・チェンジなんかされると、すべての努力が無駄になってしまう。

親や親戚、毎日顔を合わせている友達ですら、大幅に髪の色を変えられようものなら、「似ているけれど何かが違う。別人なのかもしれない。兄弟とかなのかもしれない」と変な妄想を働かせてしまうのだ。

「本人ですか?」なんてとても言えない。だが、本人じゃないのにその人であるかのように振る舞っているのも失礼な話だ。
やはり私はもっと「印象派」にならないといけないのだろう。でないと不便な人生が待っているに違いないのだから。


8 comments:

  1. 上から二個目の写真が非常にいいです。
    夢っぽくて。

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  2.  僕も顔覚えられません。覚えられないと気づいた時からあきらめました。仕事で困りますけど、ありがたいことに机の配置図に名前が書いてあるのでなんとかなります。

     杏里さんにもし出逢ったら、このあいだはありがとうござました。お礼にイッパイおごらせてくださいと言ってみよう。

     その時、イッパツじゃなくてと返してくれると嬉しかったりします。

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  3. カイユボット・・・?

    貞子かと見紛うではないか(汗

    何かから抜け出ようとしているように見えますねぇ


    顔が覚えられないのは、メンタル的な繋がりを重視してるから?
    見た目なんて、どうにでもなるって事だと思ってます。

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  4. 杏里さん 自分も一緒です
    顔が覚えられません
    以前同じこと考えました
    でもそういう人意外と多いかも知れませんね

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  5. 奇妙に威力のある写真ですね。

    いや 威力のある空間なんでしょうか。

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  6. 印象派ですか。
    わたしは、実は「本職」での杏里さんが好きじゃ無いんですね。
    はっきり言って好みじゃ無い。
    でも初めてDVDを見たとき、「この人の目は、おかしい。何かある。」
    という印象から、このように杏里さんにつきまとっています。
    印象が大事。

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  7. Ohhh.. my GOD..... it's u, anri..? so Funny n scary.. but, very2 creative photo..
    really happy to do that. and would be a funny memories with friends. but depending on how they respond to this joke. because many different people about the meaning jokes perseption... hehe,,

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