Tuesday, April 20, 2010

カプセルホテル


夜が遅く、朝が早い日があったので、あまり乗り気ではなかったが、カプセルホテルに泊まってみた。

入らなかったけれど、サウナつきでたしか一泊四千円くらいだった。あと二千円も出せば普通の安ホテルも泊まれたのだが、週末だったため、あいにく空室がなかった。

さすがに写真には撮ってくることはできなかったが、ホテル内はスーパー銭湯のような趣きだった。

館内での飲食は禁止されていたので、はりきって持ち込んだテキサスバーガーセットはエレベーターの前で食べることになった。たぶん同じような人が多々いるのだろう。ちゃんと椅子とゴミ箱まで用意されていた。

下駄箱に靴を預け、食堂やマッサージ・チェアの前を通り抜け、女性専用のフロアへと向かった。

やっぱりただの銭湯。アメニティセットもたいしたものが置いていないし、生理用品や化粧品の自販機もない。岩盤浴なんかとはだいぶ違っている。

とにかく眠りたかったので、コインロッカーに荷物を入れた後は、シャワーも浴びないでベッドへ直行した。

ベッドは奥の部屋にあった。ワインセラーみたいに暗くてじめじめしている。なんというか、ものすごく狭くて隣とも近い。これほどまでに簡易式だとは、と唖然としてしまった。

カプセルというくらいだから、一応壁くらいあるのかと思っていたが、隣とのしきりはただの厚手のカーテンだった。

部屋はしんと静まり返っているが、ときどき寝息といびきが聞こえる。ちょっと物音でも立てようものならリンチにあいそうなくらい静かだ。さっきワインセラーと言ったが、ベッドはほとんど棚にカーテンがついているだけのような代物だから、ここに十何人も人間が眠っているなんて、妙な感じがして、不気味ですらあった。

人間が宿泊しているというより、人間が収納されている、といった感じで、これ以上ないくらい無機質だ。刑務所なんてものじゃないかもしれない。

みんなクローンか何かなんじゃないかと思えてくる。彼女たちには人権なんてなくて、ただ用事を言いつけられるのを待っているのだ。

一度入ったら二度と出られなくなるような気がして、私はカーテンを開けるのにとまどっていたが、そうしている間にも時間は刻一刻と過ぎていくので、意を決して中に入ってみた。

無機質で味気ない外観と違って、カーテンの中は秘密基地みたいだった。

一畳あるかどうかも微妙で、座っていても窮屈なほどだ。だけど、そこがいいのだ。小学生に戻ったみたいにわくわくする。

ドラえもんに憧れて、押し入れの中で眠った過去がよみがえる。穴蔵に寝ているような錯覚に陥り、まるで大冒険で野営しているかのように思えてくる。

昨日の続きの本なのに、なにか特別なものみたいに面白い。東京のど真ん中にいるのに、とてもそうだとは思えない。

あまりの非日常感覚に、ものすごくわくわくしていたのだが、その興奮は眠気を妨げる種類のものではなかったらしく、普段より早く私は眠りに落ちた。きっと周囲に充満している強烈な眠気を含んだ空気のおかげだろう。

寝付きもよかったが、目覚めもさわやかだった。目覚ましが鳴る前に起床することができた。アラームをセットするのは禁止ではないらしい。私もそうだったけれど、不思議と他人のアラームでは目の覚めないものなのだろうか。

音を立てないように、こっそり支度をするのもまた楽しい一時だった。

はじめはどうなることかと思ったが、四千円を払ったかいはある一夜だった。

あのわくわくを味わうために、またカプセルホテルを利用してみるのも悪くない。





















7 comments:

  1. マジですか~。大変ですね。最近思うんですけど、私が雑誌記者とかやっていたバブル時代、芸能人もモデルも体弱いふりして歩かなかったりしたのに、昨年わたしもTVに出る機会があったり、いろんな番組見たりして…やっぱ、出てくる人、残っていく人は皆パワーあるなって、ほっとしているのですが。
    …ファンの呟きとして受け流してください…

    ReplyDelete
  2. へぇ、てっきり「カプセル」状なのかと思いきや。
    隣はカーテンなんですね。寝台車みたい。
    蜂の子にでもなったと思ってください。

    ReplyDelete
  3. これで4千円は高いですね
    自分は一人でラブホテルに泊まったことがあります^^

    ReplyDelete
  4. あれれ?
    そんなタイプのカプセルホテルもあるんですね。
    自分が昔、国内をふらふらと旅行してた時に主な宿泊先としてカプセルホテルを利用してましたが、大抵はプラスチック製の蚕棚のような近未来的な空間で、隣のとの仕切りもちゃんとプラスチック製の壁でしたが・・
    中にはいると全て一体成形でできており、天井付近にテレビが埋め込まれていて、ちょっとしたSFみたいでした。
    無人の飲食コーナーでは、よくビジネスホテルなどにある、カップ麺・たこ焼き・焼きそば等の自販機があり、50年前だったら確実にSFの世界だと思いました。

    自分は結構好きな雰囲気なので(SF好き+場末好き)今でも機会があれば使うこともあります、疲れが余り取れないので連泊はきついですが(笑)

    ReplyDelete
  5. 全校生徒がまったく同じものを同じ時間に食べる学校給食みたいな気持ち悪さ

    ReplyDelete
  6. 杏里さん、おっは~です。
    最近は、女性専用のカプセルホテルもあるってのは知ってましたが、
    まさかカーテンの仕切りとは・・・女性だからですかね。
    男性では、カーテンの仕切りだと、
    イビキが原因で殺人事件でも起きるかも。
    しかし、まあ貴重な体験をされたようでよかったですね。
    次回はサウナも利用されて、レポをお願いします。(笑)

    ReplyDelete