Thursday, January 21, 2010

外套

「我々五名の見解では、犯人を一応宇宙人と考えて、その線で捜査をしてみたらどうかということになった」

という台詞が『ウルトラセブン』を観ていたら聞こえてきた。

笑いのつぼに入ってしまった。この可笑しさは言葉では説明できない。

「一応宇宙人」だよ。「一応」だよ。
まあ、間違っちゃいないんだろうけど、何だか凄いよな~。
こういうの、いいよな。

それはさておいて、ゴーゴリの『外套』を今さら読んでみた。ゴーゴリって『コジコジ』に出てきそうな名前だ。

このお話が漫画だったら、それも好美のぼる先生の作品だったらなぁ。ああ!

頭の中で漫画版『外套』を絵柄から主人公(むろん少女という設定で)の髪型から外套のデザインまで事細かに想像して、心底読みたくて、非常に貧乏な同人誌作成が趣味のひとにギャラを払ってでも描いてほしいくらいだ。

主人公は中学生でセミロング。頭も顔もよくないさえない少女。少女がぼろぼろのコートを自分で買おうとするのも変だから、ぼろい靴か何かにしておいて、家が貧しいうえに親が厳しいことにしておいて(新しい靴を欲しがっても、まだ履けるじゃないの!と叱られるのだ)、商店街のおべっか使いのおやじの洋品店で見た靴がどうしても欲しくなることにしよう。

少女は子守りや使い走りをし、倹約に倹約を重ねて(つまり、お小遣いや、共働きの両親がくれた食費を貯金したりしてひもじい思いをしながらも)やっと欲しかった靴を手に入れるわけだ。
『外套』と同じ筋書きだ。

私はあの話のちょうどそのあたりが大好きである。オーダーメイドの外套のため、笑っちゃうような節約をする主人公アカ―キイだが、やがてそれにも慣れてきて、やがて届く新しい外套を思うと、彼はまるで結婚でもしたかのように生き生きとし、どんな襟にしようか考えると放心状態になることもあった。
わかる、わかるよこの気持ち。

私も去年、リック・オウエンスのジャケットを買った時がそうだった。
貧乏学生のような倹約生活も、ジャケットを思うと苦でも何でもなかった。やっと手に入れたその冬の伴侶は、暖かく、着心地が最高によかった。
私もアカ―キイのように遠回りしたものだ。
……追い剥ぎには遭わなかったけれど。

ここからいわゆるネタばれがあります。

せっかくの外套をアカ―キイはあっさり盗まれてしまい、警察にも、あほうのお偉いさんにもとり合ってもらえず、ショックのあまり寒さも感じなかった彼は扁桃腺の腫れからくる高熱でぽっくり死んでしまうのだ。

え?こうなる?って展開だ。こういっちゃなんだが、三文お涙頂戴漫画のようである。

そこで話は終わらない。

身分不相応な買い物の素晴らしさと愚かさを描いた作品かと思いきや、ストーリーはいきなり怪談話へと方向転換する。

ますます好美のぼる先生っぽい。

裸足の追い剥ぎ少女。目にうかぶようだ。

いい靴を履いていると、目つぶしされ、靴を盗られる。ライバルの意地悪少女も懲らしめられ……てな具合に物語は完結を迎える。

いいじゃん。怪奇漫画らしいよ。

しかし活字本としては、ファッション小説(?)である前半のほうが私は好みだ。

ミンクのコートが欲しくなるう!!

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